第2回 職員から社員へ
- 2006-12-23
- 09:06
前村長の柳村純一氏は、12年前に初当選した時、従業員の仕事ぶりを目の当たりにして愕然したそうです。そこで柳村氏は、「モノもカネも大事にしない」「こんな役場は火をつけて焼け」「公務員を変える」と決意し、次々と改革を進めていきました。今までのような状況では、能力のある人財が無能力者になってしまうと思ったからでもあるそうです。
柳村氏は、当選の際の村長訓示で開口一番「弊社の皆さん」と切り出しました。そして役場を“会社”、村長を“社長”、職員を“社員”、入職を“入社”と言ったのです。「これからは経営の時代だ。一緒に会社をなんとかしよう」という感覚で来たそうです。従業員一同はビックリ状態で「なんであんな言い方をするのだろう」と思ったそうです。柳村氏のこれらの爆弾発言に従業員も「これは何か変わってしまいそうだぞ」という予感があったようです。
滝沢村では柳村氏の下、「戦略」「内部マネジメント」「外部マネジメント」という三要素を挙げて様々な改革に取り組んできました。これらの三要素は、全て民間企業的な発想で行なわれました。決済のハンコを減らし、業務スピードの大幅アップや係長等のポスト100人分を減らし、縦割りや年功序列も排除し、指示待ち人間をなくする等して民間企業の経営感覚を従業員に定着させました。さらに公務員のあるべき姿まで根本から変えてしまったのです。単なるコスト削減や人員削減で「量」を競う時代は終わったのです。
柳村氏は、これらの改革を成し遂げるために相当の苦労をしてきました。長年に亘って膠着されてきたものを180度転換するわけですから…特に従業員のマインド改革には、かなり手を焼いたようです。当然のことながら従業員からの反発もあったようです。それはそうです。従前のぬるま湯の中の環境や体制に慣れきった人たちからすれば、ガラリと変わるわけですから…
ですが、公務員や役所の「質」をいかに高めるかを追及してきた柳村氏は改革を成し遂げ、結果を出しました。私も新卒で入社した通信社で反発を受けながらも180度転換の改革をして業績を上げた経験があるので、柳村氏の気持ちや苦労は痛いほど解ります。
これらの改革を成し遂げたことを知ってか、今年度の滝沢村の村役場の数名の新卒採用枠に予想を大きく上回る応募があり、その競争率も爆発的な倍率になりました。滝沢村の村役場は、村役場史上もっとも優秀な人財を獲得することができました。それだけでなく地域住民からの絶大なる信頼をも獲得することができたのです。
今までの医療福祉機関におけるこれまでの経営もこれに類して、政府の医療福祉政策と医療福祉行政のことを指し、それへの対応が最も重要で唯一の戦略でした。そのため民間企業であれば倒産している状況であっても事業を継続できていました。
医療福祉界も激変する環境下で運営から経営にシフトしていかなくてはならなくなってきている状況のなか、皆さんは、柳村氏が成し遂げた改革をどのように思われるでしょうか?
第1回 時代は、刻一刻と変貌している
- 2006-12-12
- 05:21
かつて日本人には、“水と空気と安全”にお金を出すという考え方は一般的ではありませんでした。ですが、いまや水も多くの種類がコンビニやウォーターバー等で売られ、酸素バーなるものもでき、集合住宅だけでなく普通の一戸建住宅にもセキュリティ機能が付いているのは当たり前になっています。20年程前には、事業として成立しないと言われていたものばかりです。
いち早くこれらの事業に着手したところは、現在巨大マーケットにまで成長したなかでメインとなるポジションを獲得しています。“まさかそんなふうになるわけない!”と言っていた多くの人たちは、マーケットへの参入に乗り遅れ、チャンスを逃してしまいました。
診療介護報酬の削減をはじめ、昨年10月に介護分野で、今年10月には医療分野でホテルコストが導入され、医療福祉業界においても従来のやり方では存続の危機に直面することになります。まさに累卵の危うき状態になりかねません。
去る9月16日(土)に行なわれた『2015年の医療福祉ビジネス』で厚生労働省社会・援護局長の中村秀一氏(厚生労働省前老健局長)は、社会福祉法人経営の現状と課題について「これまでの福祉経営モデルは、施設建設には施設整備費補助金と政策金融によるものであり、運営は措置費で賄われていた。施設管理が中心となり、法人経営が不在であった。事業規模が零細で、再生産・拡大生産費用は補助金と寄付金によっていた。サービスは画一的だった。こうした従来型のビジネスモデルから脱却し、複数事業の運営、多角的な経営を行える“規模の拡大”“合併・事業譲渡・協業化による既存法人の活用”“資金使途規制の緩和による法人単位の資金管理による経営の自由度の拡大”“公益事業の充実・活性化、収益事業の推進”“理事会機能の強化”“中間管理職の育成”“長期資金の調達”“人材育成と確保”が必要だ」と述べました。
このような発言から実際に制度として施行されることは否めません。必然的に今までの傾向から福祉の後には、医療がターゲットになることは容易に推測されます。
お手伝いしてきた医療福祉機関の方々に以前から私が提言してきたことが、まさに現実化してきています。基本的な考え方やスタンスを180度転換する必要に迫られているわけです。そのためにも経営者もさることながら現場スタッフの意識改革をしていかなければなりません。
医療福祉機関は、サービス提供機関であって慈善事業団体ではありません。サービスを利用するには、どれだけの費用が掛かって、どのくらい種類のサービスがあって、改善するにはどのくらいの期間が必要なのかを顧客(利用者)に解りやすく明確に提示しなくてはなりません。今後、医療福祉機関に様々な形で成果的要素が多く盛り込まれてくるでしょう。そのためにも医療福祉機関には、今以上にクリティカルな発想が求められてきます。
皆さんの法人が事業体としての生き残り作戦を開始しなければ、時代の変化に間に合わなくなるということになります。“気が付いた時には既に手遅れ!”ということになっては大変です。今、できることは何か?世の中はどう変わっていくのか?これを見極める必要があります。時代の変化を読み取り(先取り)、その変化について行かなければ、これからの厳しい環境のなかでの生き残りや発展はありません。




