第10回 勝利を収めるオファーとは…
- 2007-04-20
- 05:15
その良い方法のひとつに匿名アンケートの実施があります。匿名アンケートで集めた情報は、ほぼ正確であると考えられます。ですが、多くの顧客はこうしたアンケートに答えたがりません。そのため、場合によっては郵便や電話での個別調査を実施したり、回答してくれた人には何らかのギフトや特典を提供する必要があるかもしれません。
こうした調査で問題となるのは、人は嘘をつくということです。データの正確さを向上させるには、匿名アンケートの結果と、個別調査の結果を照らし合わせることが必要です。
両方の調査から導き出された共通性は概して信用できます。さらに、調査を通じて特定タイプの顧客に関する情報を蓄積することもできます。
これら調査の目的は、得意顧客の大半に見られる共通項目を見出すことなのです。しかし、企業のマーケティング担当者が自社の顧客のことをほとんど知らないか、あるいは知っていてもそれにまったく注意を払っていないところが意外に多いということです。
例えば、ある投資用不動産物件を販売する会社では、自社の最大の得意顧客がエンジニアであることが分かっていたにも関わらず、この情報をまったく活かしていなかったのです。エンジニア向けの業界誌に広告を載せることもしていませんでした。エンジニアにダイレクトメールを送ることもしていませんでした。
一方、ある企業で2社のクレジットカードの保有率を調査した結果、A社のカードを保有している顧客数がB社のカードを保有している顧客数の2倍であることが分かりました。
この情報に基づいて、その企業は、自社のマーケティング戦略を微調整することができました。このことが将来大きな成果となって現れるでしょう。
これが、得意客に関する情報を集めるための戦略を開発し、最良の見込み客を選別することの重要性になります。
では、ここで企業にとってデモグラフィクス(demographics:人口学的情報=消費者を理解し市場を把握するための基準となるもの)が、いかに重要であるかを示す良い事例を紹介しましょう。
富裕層が住むとある郊外のショッピングセンターでハイセンスなブティックを経営している女性がいました。
彼女は顧客リストを作成しておらず、顧客について、ほとんど何も知りませんでした。「そんなものは必要ない」と彼女は言っていました。ほとんどの顧客は、店のすぐ近くにある高級住宅街の住人で、その住宅街に配られる小部数の新聞に定期的に広告を載せているから、というのがその理由でした。しかし、最終的に彼女は顧客リストを作ることにしました。どうしてだと思いますか?
それは、このエリアの顧客の3分の2は、例の高級住宅街から40〜60キロも離れたミドルクラスの住宅街に住んでいたのです。それらの顧客は、とてもファッショナブルな人々が買い物をしに来るという先入観で彼女の店を訪れていたのでした。
彼女はショックを受けました。彼女はその情報に基づいて、顧客が実際に住んでいる地域に向けダイレクトメール・キャンペーンを実施しました。その結果、わずか半年で売上は3倍に増えたのです。
皆さん、顧客について本当のことをどれだけ知っているか、自問してみてください。皆さんが顧客について知っていると思っていることが、間違っている可能性はないでしょうか?多くの顧客に見られる共通点で、皆さんがまだ気付いていないことはないでしょうか?顧客について既に知っている情報で、まだ活かしきれていない情報はないでしょうか?
ある有名な学者が、20年以上におよぶ自身の調査から、「正確に判断する能力」が、成功している多くのビジネスリーダーに共通する特徴の1つであると説いています。
顧客についての正確な情報なしに、正確な判断を下すことはできません。新しい見込み客のリストを作成するときや、新商品・新サービスを販売するときには、顧客に関する正確な情報を活用しなくてはなりません。そして、顧客の関心に焦点を合わせた戦略を実施しましょう。
誰にとっても顧客についての情報を収集・蓄積することには、労力を掛けるだけの価値があります。しかし、そうした情報を収集することが、今までやってきた様々な手法のなかで最も収益性の高い方法であることに皆さんは気付くでしょう。
広告の天才といわれた米国の広告代理店オグルヴィ&メイザー社の設立者であるデビッド・オグルヴィが1948年に広告ビジネスを始めた時に最初にしたことは、彼自身が顧客にしたいと思う企業のリストを作ることでした。
彼のように、あなたも新規顧客を得たいと思うなら、とりわけ理想的な顧客を追い求めてはどうでしょうか。
ビジネスを成功させるには目標を設定することが大切です。目標を設定するときに、皆さんにとって理想的な顧客とは、どんな顧客であるかを考えてみる必要があります。その理想像は既存客と違っているかもしれませんが、その違いによく目を向けることです。
なぜ違いがあるのか、その理由を追求し、理想的な顧客を惹きつけて満足させるには、どのような戦略が必要なのかを考えなければなりません。
事業を発展継続していくには、顧客を獲得していくことがいかに重要であるかを今までお話ししてきました。その根幹となるものが、リストです。これが、事業展開をしていく上でのマーケティングの心臓部とも言えるものなのです。
それでは、勝利を獲得するためのオファーの作り方について7つのポイントを挙げてみたいと思います。
まず第1に、オファーは明確でなければなりません。オファーを受け取る側の人たちに関しては、できる限り情報を集めてからオファーを作るということです。ほとんどの人は、最初にオファーを作り、その後で、どこで広告するか、誰に発信するかを考えます。これは、成功を手にするマーケティングとは正反対のものです。
極端ですが、最初にリストを研究してから、新サービスやオファーを作る会社もあります。まず、リストをいくつか選んで、そのデモグラフィクスを徹底的に調べ上げた上で、最適のリストを選んでから最後に、そのリストに合致したサービスやオファーを作り始めるのです。
既に何らかのビジネが立ち上がっていて、既存の商品やサービスの範囲内で、新しいオファーを考えなければならない場合は、この限りではありません。
第2にオファーとは、十分に価値のあるものでなければなりません。つまり、オファーには十分な価値があると、理解してもらわなければなりません。例えば「10パーセント割引」のクーポンが、通常あまりうまくいかないのは、このためです。これは、受け取った人が疑わしいと思ってしまうからなのです。クーポンを見たとたんに「価格を引き上げておいて、それから割引したのだろう」と思ってしまいます。ただ、元の価格をみんなが知っているような場合には、「割引クーポン」は、非常に効力を発揮します。
第3にオファーは、少なくとも「割引」か「プレミアム」のどちらか、できれば両方を、提供しなくてはなりません。割引より、プレミアムのほうが、顧客にとってより魅力的に映る場合があります。
プレミアムとは、来店した人や、買い物をした人に、無料で何かを進呈するということです。ビル・グレイザーという人は、自らの小売店で提供したオファーの全てについて、
その成果を詳細に追跡した結果、プレミアムを付けることで、レスポンスが平均で30%も上がることが分かったのです。
第4にオファーには、論理的な理由付けが必要です。何の理由も無しに、割引をしたり、何かをプレゼントしたりすれば、疑惑や不審を招いてしまうだけです。
人々は皆、子供の頃から、「タダほど高いものはない」と言われて育ってきたのです。何か、理由付けを行なわなければならないということです。
例えば、「ご近所の方に、自分たちのお店を知ってもらうため」とか、「新店舗オープン記念特別オファー」とか、「開店10周年」とか、「在庫一掃セール」とか、「お客様感謝週間」といった理由付けです。どんな理由付けでも構いませんが、何かしらの理由付けが必要なのです。
第5に迅速な行動を誘うための有効期限や、数量限定、特典の数に限りがあるなど、直ちに行動を起こさせるための理由付け がなければなりません。これらはすべて、顧客側に切迫感、緊急性を生じさせるために効力を発揮します。
第6に強力、明確、直接的に、行動を呼びかけるものでなければならないということです。その際に皆さんが、相手にどうしてほしいのかを、その人に正確に伝えなくてはなりません。
顧客となるであろう人たちに「受話器を取らせ、電話をかけさせたいのか?」それとも、「ウェブサイトを見てもらいたいのか?」「皆さんのところに足を運んでもらいたいのか?」「いつ、そうしてもらいたいのか?」「そうすれば、どうなるのか?」
行動の呼びかけとして、例えば「このクーポンを新聞から切り取って、今週中、午前8時から午後8時までの間に、当社のいずれかのお店に持って来てください。クーポンをレジに渡すだけで、旅行用目覚まし時計を無料で進呈します。何も買わなくても、来店するだけで構いません。このオファーは、プレゼントが無くなり次第、終了します。その後、私どもの店内で他のコーナーを、遠慮なく見てください。大幅に値下げした商品や、セール価格の商品などを見ていただいて、もし、5,000円以上お買い求めいただいたら、お友達用にもう1つ、旅行用目覚まし時計を無料で進呈します」というようなものです。
第7に保証についての言及、もしくは、強調することです。「保証」は、時代遅れでも、使い古された手法でもありません。現在でも効力を発揮するものです。
もし、皆さんが、何らかの「保証」を提供しているのなら、皆さんのあらゆる広報活動でも、それについて言及したほうが良いでしょう。
これらの7つのポイントは、どんな商品やサービスについても、成功するオファーを作る上で、非常に重要な要素となるものなのです。




