第22回 公立病院改革ガイドラインは、公立病院だけのものではない

 このブログの第12回「本格稼動する医療機関の経営的視点」(2007年7月10日更新)でもお話ししたこと(医療機関の民間的経営手法の導入)が進展し、より一層現実味をおびてきました。
 本年7月31日(木)に総務省から「公立病院改革ガイドラインQ&A(改訂版)」(http://www.soumu.go.jp/c-zaisei/hospital/pdf/080731_1.pdf)が出されたことは、周知のことと思います。皆さんのことですから既に目を通しているでしょう。同ガイドラインをみて、このブログの第12回でお話ししていたこと以上に状況の厳しさが一層増していることに驚きを隠せません。
 医療機関の継続を考えた場合、そのボーダーライン病床利用率3年連続70%以下資金不足比率20%以上該当するものとされています。すなわち従来の体制のままでは、この数値目標クリアすることは不可能です。自治体病院90.7%赤字(『平成18年病院経営実態調査報告の概要』)となっている現状をみてもいかに危機的状況であるかが分かります。ちなみに、その他公的医療機関では59.6%、民間病院を含む医療機関全体では、72.8%赤字です。平成18年の段階でこの数字ですから現在までの動向を考慮すると、これらの数字を上回っているはずです。
 神奈川県病院事業庁では、本年3月に県立病院の老朽化による機器の更新や設備投資の必要を訴えて今以上の経営改善が求められた結果、独立行政法人化に踏み切る方針を示しました。また、地方公共団体が直営で事業を実施するのと比較して、自律的・弾力的な病院経営が可能になることから独立行政法人化(非公務員型)長所として「看護配置7対1への対応」「院内24時間保育の実施」「定型的な事務処理の外部委託化」「経営状況を勘案した人事・予算の運用」などを挙げました。参考までに神奈川県立病院累積欠損金は、平成18年度末で約178億円と報告されています。
 「公立病院に関する財政措置のあり方等検討会」の資料をみると、平成19年3月現在で、地方公営企業法が全適用されている公立病院は251病院、地方独立行政法人化では公務員型6病院、非公務員型5病院、指定管理者制度が導入されているのが44病院、民間譲渡されたのが19病院となっています(n=1,000)。
 総務省では、前述のような理由から積極的地方独立行政法人化への移行を勧めています。同ガイドラインでは、公務員型の地方独立行政法人化にも触れていて、指定入院医療機関の指定を受ける以外は、公務員型を想定していない(医療観察法第16条)としています。つまり、非公務員型を後押ししているということです。これは、経営形態の見直しをきっかけとした民間的経営手法の導入がなされていないことからきています。
 現在、TBS系列で放送されている「Tomorrow」というドラマが話題になっています。このドラマは、医師という仕事に絶望し、医師を辞め、心を閉ざしてしまい、市役所の公務員に転職した男が30億円の負債を抱える赤字の自治体病院再建を通じて再び心を開き、一度は捨てた医療の道を再び歩き出すというヒューマンドラマです(TBS番組紹介サイトから抜粋)。これは、あくまでドラマでのお話しです。現実世界では、想いや情熱だけではどうにもならないところまで状況は悪化しています。生き残るためにも、発展するためにもまずは悪化の根本となっている組織クレンジングしていかなくてはなりません。
 同ガイドラインは、自治体病院だけのものではありません。それは、財政支援(法人税や固定資産税の免除等)を受けている自治体病院よりも財政支援のない民間病院のほうが経営的に厳しい環境に置かれている(医療福祉徒然草第12回および第16回参照)からなのです。民間病院は、同ガイドラインの動向注視しながら、このブログで紹介している経営ツール参考(導入)にして今以上に経営的思考とスキル(運営ではありません)を高めていく必要があります。

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