第18回 忘れていませんか? もうひとつの連携

 実際に行われているかは別として、今や「医療連携(病病・病診・診診)」や「医療福祉連携」という言葉は、当たり前のように耳にしています。なのに医薬分業が実施されてから久しいですが、「薬薬連携」という言葉は、医療連携や医療福祉連携と比べてそれほど耳にしません。少なくとも医療連携という言葉が浸透してきた時点で、その延長線上にある「薬薬連携」という言葉も付随してくるのではないでしょうか。「医療連携」や「医療福祉連携」のように言葉だけが独り歩きをしていて「薬薬連携」(含情報の共有化)の方も思ったより進展していないのかもしれません。治療全体でみると約40%薬物療法である現状からすれば、医療サービス提供として考えた場合、大きな不安材料となります。
 医療機関からの情報発信は、患者情報職種の垣根を越えて正確に伝えて共有することで、医療サービス提供体制充実させていくことができます。これは、極めて重要なことなのです。それには、医療機関側の薬剤師が積極的に関与していかなくてはなりません。薬学部の6年制がスタートしていることからも、調剤薬局の薬剤師と医療機関の薬剤師との連携(含情報の共有化)における薬剤師の役割は、今まで以上に重要度が増していきます
 医薬分業が進んできた結果、今までになかった問題も出てきています。それは、院外処方箋が増加したことで地域内に調剤指針(ガイドライン)がない状況になるということです。すなわち、「薬薬連携」がなされていないことから起こる標準化の不整備により、調剤事故を誘発する危険性が高くなるということです。このような状況は、顧客である患者側として考えれば、非常に恐ろしいことです。在宅医療重視されてきていることからも、このことは深刻な問題です。またチーム医療が求められてきていることからも薬剤師への期待は大きなものとなります。
 このように薬剤師が置かれている環境は、以前とは比較にならないほど良くなってきています。ただ、それを調剤薬局の薬剤師どこまで自分のものにするかによってその環境に自分たちが身を置けるかが決まってきます。そして、このような時流は、薬剤師にとって平等に与えられたチャンスであるということも忘れてはなりません。
 例えば、栄養学の知識を身につけた薬剤師が院内にNST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)を立ち上げたとします。これを地域レベルにまで拡大したならばどうでしょうか。そして、多職種との連携を推進していったならどうでしょうか。
 「チーム医療」という言葉は、調剤薬局の薬剤師にとっては、未開の領域と捉える人も多いでしょう。しかし、自分自身で「チーム医療」の一員となる意志をブランディングして発信していかなければ、これからの時代生き残ってはいけません
 地域NSTは、特定保健指導が調剤薬局薬剤師の機能のひとつとなったこともあり、NSTはその突破口としてこれからの薬剤師の在り方と活躍するステージ(ポジショニング)を考える上で、マッチするツールとなることでしょう。このチャンスをどれだけ早くものにできるかによって、固定顧客潜在顧客獲得数が決まってきます。
 「医療機関→在宅→医療機関」というように顧客(患者)が移動しても広いネットワークを持っていれば顧客の移動範囲に関係なく情報迅速かつシームレスに流れていきます。もちろんセキュリティ対策を万全にした上でのことですが…(「第8回 Pマーク」参照)。
 また、ある医療機関では広いネットワークを構築しており、緊急の場合には電話一本で対応できるようにしています。顧客の利益という観点から考えれば、非常に高品質のサービス提供体制と言えるでしょう。これも常日頃から行われている情報の共有化がなせることと、運営ではなく経営をしているからに他なりません。「医療連携」「医療福祉連携」「薬薬連携」という経営上重要なファクターとなる連携スムーズに行くことで、顧客サービスの充実を図ることができます。
 皆さんの法人あるいは地域ではいかがでしょうか。これを機会に、もうひとつの連携熟考してみてはどうでしょうか。

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